【Fami Mail】
vol.29 2003.3.17 http://www.faminet.co.jp/m-maga/03/029-03-17.htm |
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【続寄稿】 戦争が開始してから6日目が過ぎました。
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著者より- March 26, 2003: 戦争が開始してから6日目が過ぎました。 | ||||||||||
私が聞いた話では、ヨーロッパや外国のテレビでは、イラク市民のインタビューや、 実際の戦闘場面、両軍の負傷者などの血生臭さい映像などを流しているそうですが、 アメリカではもちろんそんな場面は一切放送されていません。CNNでさえ、遠くから映した砂漠の向こうに煙が立っているとか、兵士がジープに乗っている姿とか、そんな映像だけを流しています。というより、民間のチャンネルのニュース番組では、兵士の家族の秘話を紹介したり、最新の武器の特集をしたり、はたまたイラクの天気予報までやったり、「これはオリンピックの報道か?」と思わせるほど娯楽的な内容です。これはもちろん兵士や市民が血を流しているような場面を見たら米国民がショックを受け、反戦感情が高まると困るので、メディアが徹底してコントロールしているのだと思います。前回私が書いたように、アメリカ人は自国が戦場になったことがないので、本当の戦争がどんなに残虐なものか知らないのです。彼等は子供が顔に火傷を負ったとか、兵士が血を流して苦しんでいる姿など、目の前で見たこともなければ、テレビでも見ないし、想像さえもできないのです。(ハリウッドの娯楽映画ではいつも見ているのに?) また私の予測したとおり、いったん戦争が始まったら、以前は反戦派だった人も愛国心 かられ、「この際イラクで戦っている我々の息子達を支持しようではないか」と戦争支持にまわった人が多いようです。もちろんNY市などではまだ反戦派は多く、先日の土曜日も12万から20万人がデモに集まり、今回は私も参加しました。 参加者の多くが学生などの若者で、中には家族連れの人々、芸術家、教育者、外国人ももたくさん来ていました。もちろん極左っぽいグループや、フェミニスト団体、60年代再現かと思わせるようなすずめの巣の髪形をしたヒッピー系(反戦運動をしている自分達に酔いしれているようなやつら)もたくさんおり、そのうちの何人かが、夕方になってもまだ集会に残って警察と衝突し、逮捕されるという事態にいたったようです。このような人達は、警察を敵対視し、平和や非暴力 というスローガンを「暴力」で訴えるという矛盾した人達であり、その過激な言動は普通の反戦派の人々を困惑させています。 それにしてもアメリカはあれよあれよと愛国ムードが高まり、反戦教育の国日本で育った私としては、このアメリカ人の浅はかさが疑問でなりません。リベラルなNYから一歩出れば、少しでも反戦的なことを言うと「裏切りもの」「自分の国に帰れ」など、非国民呼ばわりされそうな気配が充満しています。実際反戦を唱えたテキサス出身のポップグループが、
一般市民やラジオ局からボイコットされ、彼女らのCDが破壊されたりしているのです。 戦争で国中が「軍国的」になるほど恐いものはない。日本はこの過ちを過去から学び、広島・長崎で35万人以上の命が犠牲になり、やっと目覚めたわけですが、その原爆時の日本の犠牲者や破壊状況の現実に関して一般アメリカ人がどれだけ知っていたかは、今のアメリカ人を見ている限り、かなり疑問に思えてなりません。 ところで一昨日の3月23日に、延期の噂も出ていたアカデミー賞受賞式がテレビで放送されました。俳優などに対し、式での反戦スピーチは自粛するように、という指示も出ていたようです。 それでは早くこの戦いが終わることを願っています。
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