
日本でも米国でも、ティーンエイジャーと言えば難しい年頃、というイメージがあります。思春期も絡んで、反抗的な言動、しらけた態度、気分の抑揚が激しいなど、人生の中で一時的にネガティブな時期であり、これを通りすぎるとまた落ち着く、と いうのが一般的な通念のようです。
しかし米国では、これらの十代の多くが実際には"Depression"(うつ病)を患っている、という事実が明確になっています。雑誌「ニューズウイーク」の調査によると、米国で300万人ものティーンエイジャーがうつ病であると報告されており、またNational Institute of Mental Treatmentによる統計では、十代の8%に、小学生などの子供でも2%に、うつ病の症状が確認されたとしています。
これらの主な症状としては、頭痛、食欲減退、疲労感などの身体的なものを始め、不登校や学力の低下、無気力、無関心、また叫ぶ、泣く、キレるなど感情の起伏が激しくなる、などがあります。また米国で十代の死因の3位が自殺となっており、このほとんどがうつ病を患っていたと言われています。日本でも不登校児やひきこもりの数が減らない現在、子供のうつ病という認識はまだ低いものの、ただの「怠慢」や「わがまま」「親のしつけの失敗」だけがその原因とは言えないと思います。これらのケースの多くには、うつ病が隠れているのではないかと疑わざるを得ません。
娘さんの場合、アメリカに来てまだ7ヶ月で英語もわからず、特に10年生ともなると学習内容も高度で、毎日かなりの苦境が考えられます。授業中わけがわからないことが多いとボーっと妄想にふけり、先生の話を聞く事さえやめてしまったり、生気がなくなり無気力状態になるパターンも見られます。また極度のストレス状態が何ヶ月も続いていること、頭痛などの身体症状で体が警告を発している可能性を考えると、娘さんはやはり一度診察をうけたほうが良いと思われます。学校のサイコロジストから十代専門のセラピストを紹介してもらい、必要であれば精神科の治療も覚悟しておきましょう。母国語で気持ちを表現することが重要なので、できれば日本語がわかる医者が理想です。娘さんの心身の健康を最重要に考え、早急に対処するべきでしょう。