希望を持って渡米したにも関わらず、厳しい現実に直面し、挫折。結局はらくな方、楽しい方に流されて方向を失ってしまう留学生は、アメリカに少なからず存在すると思います。このような状況に陥ると、何も達成できないまま日本に帰るのは嫌で帰国できず、かと言って大きな進歩もなく、気がついたら何年も経っていた、ということにもなりかねません。しかし、相談者の場合まだ21歳で、この年齢で将来の目標がはっきりわかっている人は、そう多くはないと思います。現在「このままではいけない、なんとかしなければ」と悩んでいるだけでも、まだ希望は多々残されています。まず、今までの自分を振り返り、なぜこのようなパターンを繰り返してしまうのか、考えてみましょう。そしてこの状況から抜け出せる策を真剣に見い出しましょう。
日本で「大学を続ける意欲がなくなった」、さらに「アメリカの学校にも行かなくなった」とありますが、そもそも自分の意思で大学に行こうと決定されたのでしょうか。本当は何がしたいのかわからず、勉強を努力して続ける動機が薄かったからではないですか。まずは、いろいろな分野を模索して、やりたいことを見つけるのが先決です。例えば、アメリカの多くの学生は大学に入る前から、漠然ですが将来つきたい仕事について考えます。そして大学最初の2年で専攻を決め、専門知識やスキルを身につける方向を定め、キャリアを達成するための人生計画を立てます。夢やあこがれではなく、自分の得意分野や興味のあることを現実的に把握し、それを実現させるためには今何をするか、その次はどうするか、と論理的に考え実行していくわけです。アメリカで成功している人は、このようなフォーカスが的確です。ここでのポイントは、「地に足がついた目標」、「的を得た計画性」、そしてそれを努力して続けていく「意志の強さ」と「実行力」が大きく物を言います。
大学に関してですが、勉強が不得意なのであれば、何も学歴だけが人生ではないので、嫌々大学に行く必要はないと思います。やる気がなければ入学しても、結果授業を落とすだけで、お金と時間の無駄になります。将来何がやりたいか全くわからないのであれば、今この期間をいろいろな人に会って話を聞いたり、本を読んだり、アルバイトの職種を少しでも興味のあることに変えてみたりして、自分が何に向いているかを発見する時間に変えることが大事です。
また相談者は、親からの仕送りで生活をしているという恵まれた環境を最大限に生かし、自分の将来を築くことにエネルギーを費やすべきです。本来勉強するための親からの仕送りですが、逆にそれで生活ができるので安心し、努力を怠り遊んで暮らしているなら本末転倒です。もし自分が日本で何年か働いて、一生懸命貯めたお金で留学したのであれば、今頃もきっと必死で勉強しているはずです。厳しい言い方ですが、親に頼らず自分で生活をしている人は、それ自体どれだけ大変なことかわかっているので、自覚と責任感も備わっています。また稼ぐからには、自分の好きな分野で稼ぎたいので、そのレベルに到達するよう自己を向上させる努力と意気込みが違います。周囲にこのような人がいれば、是非ロールモデルとして話を聞き、学んでください。まだまだこれから新しいことを学び、チャレンジしていくチャンスはたくさんあります。同時に自分への厳しさ、努力なしには何事も得られないことを肝に命じ、新たな出発を試みてください。