在米2年、9月から8年生の娘がいます。私は大した問題ではないと思っていたのですが、娘は歯並びが悪く、現地校に転入してから本人は非常に気にしていました。彼女曰く、それが原因でまわりから冗談を言われたりして、学校が嫌になり、7年生後半は欠席が多くなりました。このままの状態だと、新学期からも登校するのが嫌だと言っています。私たち家族が持っている保険は歯の矯正治療はきかないので、かなり高い治療費になるようです。どのように対処するべきでしょうか。
(ニュージャージー州、母)
日本では、歯医者に行くのは「虫歯で痛くなった時だけ」という印象があり、例えば八重歯がかわいいと言われたり、歯並びが悪い人もたくさんいるので、このような問題はさほど重視されないのが通常のようです。しかし、アメリカに住んでみると、歯並びの悪い人は、ほとんどいないことに気がつきます。このため、これまで自国で全く気にしていなかった人が、アメリカに来て恥ずかしさを覚え、口を開けて笑ったりするのを控えたりし始めると聞きます。
もちろんハリウッドに代表されるように、白くてきれいに並んだ歯は、アメリカ人の「美」の象徴と思われますが、この国では、歯並びで家庭環境や教育レベルまで判断されるとも言われています。例えば親がきちんとした職業につき、医療保険を持っており、(アメリカは年二回の歯のクリーニングとチェックアップ、そして必要な治療にはいくらまで、と保険がきくことが多い)また自費で治療費を払って矯正などをさせている家庭は、やはり教育的にも子供のケアが行き届いている、とまわりから見られます。このため、子供の歯並びが悪いと、親が子供を放置しているか、低所得者であるというイメージを持たれる可能性が強いわけです。もちろん、だからと言って、そのことでからかわれたり、いじめられたりするのが当然というわけではありません。子供がなぜ学校が休みがちになってしまったのか、先生にちゃんと話をして、本人が傷ついていることを伝えておくべきでしょう。しかし、現実としてアメリカでは、悪い歯並びは子供にとって圧倒的にマイナスになると言っても過言ではありません。先生に相談しても、からかった子らに注意はしても、同時に娘さんの歯の矯正も勧められることでしょう。日本で育った親からすると、このようなことは「大した問題ではなく、お金をかけるほどのことだろうか」と疑問を持たれがちですが、特に女の子の場合は容姿も気にするようになり、またアメリカ社会では大人でも成功するための条件のひとつとまでと言われています。さらに、噛み合わせなどが将来本人の健康に影響する可能性も指摘されています。
さて残念ながら、日本もアメリカも歯の矯正に関しては保険はカバーしないことが多く、自費で高くかかるのが通常のようです。しかし、アメリカは「デンタル先進国」で、歯科医も相対的に高い技術を持っています。どうせ両国で保険がきかないのであれば、娘さんの現地校生活が楽しくなり、また今の悪い状態が彼女の健康や社会性に影響を及ぼしかねない以上、是非在米中から矯正を始めて、本人の将来に「投資」されることをお勧めします。
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2008年7月15日発売