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「読み書きが伸びない息子」

現地校に行き始めて約2年半になる小学校4年生の息子がいます。英会話はよくできるようになったのですが、読み書きがあまり伸びず心配しています。綴りはいい加減で、現在も教科書は一人では読めません。先日は学校側から「もっと家庭でのサポートを強化してほしい」と言われました。どうすればよいでしょうか。  (NY市、母)


現地に来てから2、3年経ち、会話は流暢になったにもかかわらず、読み書きに問題がある子供は驚くほどたくさんいます。特に小学校低学年で来米し、まだ読み書きの基礎が日本語でもできていなかった子供にこの問題が多いようです。また英語学習初期の段階で、フォニックス(Phonicsー音と綴りの関係を学ぶもの)がうまく入らなかった場合もいい結果が見られません。フォニックスはアメリカの学校では非常に重要視されており、これを覚えることによっていろいろな単語の読み書きができ、本が音読できるようになるので、アメリカ人の子供達は幼稚園や小1からこれをみっちりたたきこまれていきます。

日本では英会話に対するコンプレックスが強く、親はどうしても子供に「会話を覚えさせたい」という希望ばかりが強い傾向があります。会話に関しては最初はさっぱりわからないことが普通ですが、友達と遊び出すとようやくかたこと話し始め、2年ほどで文法的間違いはあってもまあまあ流暢に話せるようになる、というパターンが多いようです。しかし読み書きは会話と違い、自然に覚えるものではなく、普段から努力をして学習していかないと向上はしません。実際現地校に入ってみると、読み書きが予想以上に要求され慌ててしまう家庭も少なくないようです。例えば毎日の宿題もプリントや本を読んで意味を理解し、まとめや感想を考えて文章に書く、算数も文章題を読んで問題を解く、など読んで書けなければこなせない内容が山ほどです。現地校は語学学校ではなく教科を学習するところですので、学校側も容赦なくそのような態度で臨んでくるということを覚悟しなければなりません。

さて現在息子さんに家庭でできるサポートですが、次のことを毎週実践されてはどうでしょうか。

1)まず簡単な本でも構わないので一週間に1冊必ず読書をする。

2)そこで出てきた新しい単語(意味が曖昧な単語も含め)を書き留め、
   意味と綴りを覚え、完全に書けるようにする。それらの単語を使って文も書かせる。

3)本の内容を問う質問を作り、その答えをノートに完全文”Complete Sentences”
    (1語だけの答えなどでなく、ちゃんと主語、動詞を使った文)で書かかせる。

4)ストーリーを1ページに簡潔にまとめて書かかせる。

5)本の内容に関連した創造的なテーマを与え、1ページ作文を書かせる。
    例えば「もし主人公が自分だったらどうするか?」
    「この主人公と似たような経験があれば、詳しく書け。」など。本人が創造力に乏しいようであれば、話し合いながらアイデアを引き出していく。

6)作文に見られる間違いから文法上の弱点を強化する。例えば過去形や3人称単数の 「s」などの間違いを正させ、その後その練習問題をさせる。

親が教えると本人が怠慢になりがちな場合は、家庭教師を雇うなどしたほうが効果的でしょう。これを毎週続けていけば、読み書きは必ず向上していくはずですので是非実践をお勧めします。


*この回答はあくまでも一般論で、 全てのケースにあてはまるわけではありません。


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