アメリカ現地校悩み相談室

アメリカ現地校への転入では、いろいろな問題に直面します。
ここでは,（KOMET 現地校教育コンサルタント　高橋 純子）がアドバイスします。

「ミドルスクール直前の夏休みにやるべきことは？」

一年前に渡米し、現地校に通う５年生の女子がいます。この一年、英会話はあまり伸びず、授業で先生が言うこともまだほとんど理解できません。学習内容でもかなり苦労しています。９月からはミドルスクールになるので、授業についていけるか大変不安です。この夏休みのあいだになんとか学習準備をしたいのですが、何かいい方法や対策があったら教えてください。　　　　　　　　　　　
　 （メリーランド州、母）

“photosynthesis”（光合成）、“hibernation”（冬眠）、“mass”（質量） これらは現地校５、６年生の内容で出て来る専門用語で、大人にとっても英語的にかなり高度なものです。まだ会話レベルで苦労しているお嬢さんは、授業では大変な思いをされていることでしょう。しかし、１年で英語もマスターし、学習内容も理解できるようになるお子さんはほとんど存在しません。最初の１〜２年はまだ新言語の初期インプットの段階といえます。個人の差はありますが、会話が困らなくなるのに少なくとも３〜４年、学習内容が理解できるまでに５年以上と言われています。ですので、英語がわからない外国人の子供が現地校に入るということは、このような状況が普通であることを念頭においてください。

さて、この夏のゴールとしては、「小学校の内容の復習と理解を深める」「英語一般並びに学習英語の上達」そして「６年生の内容の予習」の３点に絞りましょう。ミドルスクールは、学校の差こそあれ、最初は小学校５年生までの学習内容を反復している内容がよく見られます。ですので、今まで小学校で学んだことが、まずきっちり理解できているかおさらいしましょう。英語一般の上達に関してですが、夏休みになると、学校のようにアメリカ人に囲まれ、英語ばかりの状況がなくなるので、家にいるだけのお子さんにとっては困難なものになります。基本的に言語のインプット量＝上達度は比例します。しかも年齢が低い方が言語習得は容易ですので、今のうちにそのような環境にできるだけ身を置かせるように努めてください。せめて１ヶ月だけでもデイキャンプなどに行かせるのが理想的ですが、もしまだそのようなプログラムが募集を閉め切っていなければ、すぐに問い合わせてみましょう。

最後にこれからのミドルスクールの内容への対策ですが、進学予定の学校に今のうちに問い合わせ、次のようなステップで準備をしましょう。

１　お嬢さんの状況を説明し、どのような準備をすればいいかアドバイスを受ける。
　　　 特に何に重点を置いて予習すればよいか、明確にしてもらう。
２　もし教科書が前もって借りられるようであれば貸してもらい、それがだめであれば、教科書の名前リストをもらって市販で購入する。
３　家庭教師を雇い、これらの内容にそった指導をしてもらう。
家庭教師ですが、学習の内容をちゃんと理解するために日本語の説明も必要となると思われますので、バイリンガルの先生が理想でしょう。また次々に出て来る学習用語を科目ごとにきちんとノートにまとめ、意味を確認し、ちゃんと文章で使えるように指導してもらってください。