【Fami Mail】 特別寄稿連載 帰国子女子育て記



帰国子女となった子供と共に歩んだ15年

目次                                          海外赴任アドバイザー
        
 黒川 美佐子 
(英国4年半・中国1年半在住経験)

著者HP>海外帰国子女受験体験記
第7回 受験等の有効な情報を得るためにーブログの体験記・掲示板の利用法

 電子日記から始めたHP
次男小学校卒業の朝
 第7回。いよいよ最終回となりました。中国・英国駐在体験、問題を抱えつつも向かい合った長男・次男の帰国子女中学受験、そして現在の子供達の様子を織り交ぜながら、書かせていただきました。

 この連載に関しては、遠い記憶を呼び起こしながら書いた箇所がほとんどですが、一時期、インターネットの隅っこに電子日記をしたためていましたので、それを読み返しながら、過去となった当時のことを今どう考えるか、を自問自答しながら纏めた箇所もあります。

 当時、私が書いていた電子日記は、今流行のブログのようなものです。私の場合は、受験というテーマでオープンに書いていたものではありません。友人のサイト内の別館のようなところに一部間借りして、自分のささやかな趣味として始めたガーデンのことや、日々直面している問題を気の向くまま書き綴っていたものです。これは、ほぼ一日も欠かさず約2年間書き続けました。

 ガーデンを趣味とする仲間が植物の成長の日記を書いていた中で私一人、植物とは全く関係のない子供の受験のことも絡めて書いていたのですが、今、思えば、受験とは全く関係のないカテゴリーで書いていたから、素直に心のままに日記を書き続けることができたのだろうなあ、と思います。


 日本語にろくに触れていなかった次男が、帰国生と一般生の混合学級の小学校に編入し、国内生専用の受験塾に在籍したわけですから、何時も良い時ばかりではありません。あとで自分の書いた電子日記を読み返してみると、公開しておく事がためらわれるような箇所もたくさんありました。後にHPとして纏めたものは、その中のごく一部です。HPは、情報を提供するために立ち上げたサイトでしたので、単なる愚痴や感情があまりにもマイナス面に触れているものは省きました。

 今思えば、次男の中学受験に関しては、日々感じたことを書きながら、自分に降りかかる不安感などのストレスを解消していたように思います。


 せっかくの駐在経験や、お子様の受験経験を記録しておきたい、と思われている方もいらっしゃると思います。また、掲示板などに自分の体験を基に情報提供したり、逆に掲示板などから積極的に情報収集したい、と思っていらっしゃる方も多いと思います。

 最後に、掲示板の書き込みに際して知っておいていただきたいことや、インターネットを通して情報交換をする場合に気をつけた方がよいと思う点を、いくつか書いておきたいと思います。


 
ブログの個人的な情報は曖昧に書く
次男小学校卒業式
  自分の体験をネット上で公開するのなら、ブログが一番手軽です。

 無料のブログを提供している会社はたくさんあります。その中の機能を調べてみてください。誰かに共感してもらったり、同じ立場の仲間が欲しいという目的でブログを公開するのなら、受験や海外生活のカテゴリーを設けている会社のブログを使用するのがよいでしょう。

 ところで、ネット上に公開した貴女のブログは、誰かに見てもらいたいものですか?それとも、誰にも気づかれずにただ自分の心の中を吐露すればよいものですか?

 ブログに自分の体験を書くのなら、HN(ハンドルネーム)を使用するのはもちろんのこと、住環境などすべて細かな描写はせず、自分を匿名化した方が無難です。たとえ、貴女を知っている人が貴女のブログを訪れたとしても、それが貴女だとは特定できない位に、自分の姿を曖昧に描写しましょう。

 ブログを公開したものの、別に誰かに見てほしいわけではなく、自分の心とだけ対話をしたいのであれば、一つ一つの項目について、表示、非表示を選択できるブログがよいでしょう。アクセス解析がついているブログでしたら、誰がどういうルートで尋ねてきてくれたかがわかるヒントが満載ですので、セキュリティーにも役に立ちます。トラックバックやコメントは受け入れないように設定することも可能です。


 
削除後もキャッシュに残されてしまう自分の過去
次男小学校卒業謝恩会
 もし、自分のブログは単なる独り言で、今の時点では他人に見て欲しくない場合、なるべく、GOOGLEの検索にかからないように工夫しましょう。

 固有名詞は、なるべく使わないようにしましょう。たとえば、滞在都市名、学校名や塾名などです。たとえば、英国を○国、学校名はK校、塾名はN研などと、伏字やアルファベットを使用して検索にかからないような工夫を忘れないようにしてください。

 良いサイトだから、或いはお友達のサイトだから、と、リンクを繰り返していると、期せずしてGOOGLEの検索ロボットが貴女のサイトを訪れるようになる可能性があります。もし、検索ロボットが来るようになってしまったら、定期的に貴女のサイトをくまなく拾い上げ、一語一句、検索にかかるようになってしまいます。不特定多数の人の目に触れるようになってしまいます。

 検索にかかるようになってしまったサイトや掲示板は、自分の書いたものを削除しても、キャッシュ、という機能で、情報が残されてしまいます。これが消えるのには、かなりの時間がかかるようです。


 
ブログのコメント・掲示板の使用法
長男中学校卒業パーティー
 情報を得たくて人と交流したい!と思う場合は、主に受験の時だと思いますので、以後、受験に限って書いていきたい、と思います。

 人と交流したい!人から情報を得たい!と、思ったら、ブログのコメントや掲示板への書き込みをしてみる事をお勧めします。ブログのコメントでしたら、トップページからは何が書いてあるか見えないし、文字も小さく目立たないので、書き込みしやすいと思います。

 掲示板への書き込みの際には、まず、その掲示板に訂正や削除機能があるかどうか、よく見て、その方法を把握してから書き込みをするようにして下さい。万が一、自分に不都合な状況になったときには、管理者に頼るのではなく、自分で削除できるようにしておきましょう。

 書き込みの際には、尋ねたい内容を吟味して無駄な言葉を省き、数行に纏めると良いと思います。その掲示板やブログが個人のものでしたら、管理者が好意で回答を行っているわけですから、誰が読んでも内容を把握しやすいように改行やスペースを工夫し、書き込みをしましょう。

 掲示板には、多くの関係ない人がロムしている可能性がある表通りのものと、管理者とごく一部の人しか使用していない裏通りのものがあります。注意していただきたいのは、表通りの掲示板です。ただ、通りすがりに、一言二言、読み手が気に障るようなことを書き込んで立ち去る人や、敢えて嫌な気分にさせて喧嘩のきっかけをあたえる人もいます。その結果、掲示板上で、ののしりあいや、いじめのような現象が起きてしまう事があります。

 一目見たときに嫌な印象を受ける書き込みは、無視するようにしましょう。相手の挑発に乗ってしまい、掲示板が荒れていくのは、見ていても忍びないものです。また、書き込みをする気がなくても情報は欲しい、と思っている人にとっても、余分な書き込みが増えてしまうと情報を得るのに苦労します。

 ブログを立ち上げるときもそうですが、大通りの掲示板では、自分に関わる個人情報が特定されないように工夫することが大切です。自分のサイトにリンクしたり、自分がいつも使っているHNを使用しての書き込みは避けて下さい。


 
管理者の気持ち次第であっという間に削除されてしまうサイト
勿忘草
 良い情報満載のブログやHPを見つけて喜んでいたとしても、管理者の気持ち次第であっという間に削除されてしまいます。昨日あったサイトが今日はない、ということも、当然起こりうることです。かくゆう私も、ブログに関してはいくつか削除してしまいました。ブログはHPと違い、ほとんどは無料で簡単に作成できるため、管理者にとっても、未練が少ないのです。

 受験体験記に関しては、特にその傾向が大きいようです。受験の最中は、熱意を持って一生懸命書くのですが、終わってしまえば、書き手にとっては、あまり意味をなさないものになってしまいます。特に、受験に関しては、年単位で自分や子供の心と向き合うわけですから、自分の感情があからさまに書いてあったりするので、ふと恥ずかしくなるものです。

 どんなに内容が良く、そのまま掲載しておいて欲しいと思ったとしても、様々な理由で、管理者がネット上に置いておきたくないと思ったら、簡単に削除されてしまいます。

 単に、管理者の操作ミスで、掲示板の内容が消えてしまう場合もあります。ブログでも掲示板でも、
これは!という情報を見つけたら、印刷したり、ファイルで保存しておくなど、利用者なりの工夫をした方がよいかもしれません。

 また、私のサイトもそうですが、HPとしてできあがっているものは、入学してからのその学校の事を知ることができたり、管理者が今だから語れる事、などから得ることは多いかもしれませんが、一般的には情報が古いものが多いと思います。また、実際、現在の子供や学校の様子を細かく書くことははばかられます。

 リアルタイムに情報を得たければ、ぜひ、今年受験のお母様が書かれているブログを探してみてください。できれば、帰国子女入試だけではなく一般入試の体験を、書いていらっしゃるお母様のブログもチェックしておきましょう。


 
我が子を守る姿勢を貫く

 受験体験記を公開するにあたって大切な事は、いかなる場合においても、『母として子を守る姿勢を貫く事だと思います。

 私達家族は、帰国してから今日まで、実は試行錯誤の日々です。もうすぐ長男の大学受験が控えていますが、その様子を横で感じながら、本当にあの6年前の選択は正解だったのか?と、自問自答するような出来事もないとは言えません。それでも、我が子の前では、あれは最良の選択だった、という態度をとっていますし、我が子自身も、これまで選択しながら歩んできた道に満足しています。

 いつもいつも、人は迷いながら歩いています。私もそうです。いつも試行錯誤です。でも、子供の受験体験をHPにしている限りは、母として我が子へのこの選択は正しかった、という路線を貫いていくつもりです。

 多くの受験体験記は、その家族の歴史です。読み手は、文面からにじみ出る母と子の強い絆を感じられることと思います。

 ほのぼのとしたエピソードがちりばめられている宝箱のようなサイト・・・

 皆様も、是非素敵なサイトに巡り合ってください。そして、少しでも幸せを感じてください。
長い間、ご愛読ありがとうございました。


                                      2005年 10月15日

                                                  完


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