【Fami Mail】 vol.44 2004.6.15
 <特別寄稿>

「日米社会保障協定」
株式会社UFJ総合研究所 
国際本部 海外経営相談室 
藤井 恵

 2004年6月11日、会社員らが日本と米国で社会保険料を二重払いすること防ぐための 「日米社会保障協定」が参議院本会議で可決、成立しました。

 そもそも公的年金などの社会保障は、現在居住している国の制度に加入することが 原則です。
 しかし、海外勤務することによって 将来の日本での年金受取額が減ってしまうことを避けるため、海外勤務者は 日本と勤務地国の両方の制度に加入することが多くなっています。

 そして勤務地国での保険料の負担は、海外勤務者でなく、全額、海外駐在員を派遣した企業が負担しているケースが大半です。
 そのため、たとえば日本企業がアメリカ勤務中の社員のために負担するアメリカの社会保険料は、 新聞報道等によると年間600億円に達し、かつアメリカでは10年以上、保険料を支払わないと年金を受け取れませんので、この保険料の大半が掛け捨ての状況でした。

 今回の協定によって、アメリカへの赴任期間が5年以内であり、その間、日本の年金制度等に加入していれば、アメリカでの年金制度等への加入は免除されます。
 一方、赴任期間が当初から5年を超えると見込まれる場合には、日本の年金制度等は脱退し、アメリカの年金制度等だけに加入しますが、年金の受取に際しては、両国の年金制度への加入期間を通算して、それぞれの国の最低加入期間を満たしていれば、日米両国から、その加入期間に応じた年金が受け取れるようになります。

 日本は既にドイツ、イギリスとこのような協定を結んでおり、今回のアメリカ同様、来年から施行予定の韓国との協定もあわせると、ようやく4カ国と社会保障協定を結ぶことになります。

 一方、アメリカは欧州を中心として、すでに20カ国と協定を結んでいることから考えても、 この分野において日本はまだまだ遅れています。現在、フランスやベルギーとも協定締結に向けた交渉が、 またカナダ、オーストラリア、イタリア、ルクセンブルク等とも交渉に向けた話合いが進んでいるそうです。

 今後こういった協定の締結が進んでいけば、海外勤務者を送り出す企業の負担も減少し、日本企業の国際競争力にプラスの影響が出るものと思われます。

 海外勤務者を送り出す企業の担当者および海外勤務者および予定者は、 今後日本が締結していく社会保障協定の動向に注意を払う必要があるでしょう。

 

2004年6月15日


書 籍 :「海外勤務者の手引き 〜社会保険と税務Q&A〜 」 著者 藤井 恵



 

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