アメリカにはIDEA (Individuals with Disabilities Education Act) という障害児教育法があり、3才から成人とみなされる21才の終わりまで、特殊教育・生活支援を受ける権利が保障されています。義務教育期間内に限らず、学校→社会生活の転機も含め、長期的に支援しようというスタンスなのです。
さて、このIDEAには、特殊なニーズのある児童が学校教育を受けるにあたって、いかにGenEd (GeneralEducation/一般教育)のカリキュラムにアクセスできるように支援するか、という思想が掲げられています。この思想を基に、対象児とその保護者には以下の2つの主な権利が保障されています。
その1) FAPE(Free and Appropriate Education) =無償かつ適切な教育=
『児童がGenEdに参加するのに必要な支援を無償で提供しよう』の精神。
「無償の支援」とは、公立学校教育を指し、家族に金銭的な負担はかかりません。しかし、次の「適切」というのはどうでしょう。子供によってそれぞれニーズも違うし、適切の基準も違う。親が思う我が子にとっての「適切」と、学校側の「適切」とはまた違う。ここで両者の意見が別れると、「無償」も「どこまで無償?」という話になります。稀なケースですが、公立学校に子供のニーズに見合うプログラムがない場合、「適切」とみなされたプライベートのプログラムの費用を公立学校区(教育委員会※2)が負担するという場合もあります。我が校でも先日、保護者側から学校で音楽セラピーとヨガをしてほしいとの要請がありました。しかし、その必要性は認められず、要望は通らなかったようです。
その2) LRE(Least Restrictive Environment) =最低限に制限された環境=
『児童がGenEdから離れている時間を最低限にとどめよう』の精神。
逆に言えば、一般教育の場にいる時間・通常学級の児童と一緒にいる時間をできるだけ多く取ろうということ。通常学級を離れて特殊教育のプログラムに参加している時間は、基本的に一般教育の場から離れている時間とみなされます。したがって、「制限された環境」ということのようです。
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