インド人はよく喋る。
よくここまで話し続けられるものだと感心するほど喋る。
相手の話を聞くよりまず自分の言い分ありきと考えられており、自己主張の強さはインドの国民性といわれている。
何事もあいまいで控えめが美徳とされる日本人の社会通念とは逆のようだ。
知人から聞いたインド人ビジネスマンの話。
日本企業で初めてプレゼンテーションを行った際、日本人十数人を前にノンストップで話し続け2時間に及んだ。彼のテンションは上がる一方でどんどん早口になり進行していく。
聞いている日本人はみな呆気にとられ途中誰一人として質問もできなかったという。
ようやく独演会が終わり、質疑応答になっても相手の質問が終わらないうちにまた話し始めしまう。
終了後あれだけ話せばさぞかし疲労困憊しているものと思いきや、ご本人はいたって元気。
まだまだ話しを続けたい様子だったのに対して聞いていた日本人はみな疲れきっていたという。
国民性とはいえ、日本人にとってはまだまだ未知の不思議さを持つインド人である。
日本ではおしゃべり好きは女性というのが一般的だが、私の感想としてインドでのおしゃべりは圧倒的に男性のように思う。
街のあちらこちらで目にするのは男性が5、6人で固まって話しに熱中している姿。
日本でいう井戸端会議なのだろうが、その白熱ぶりといったらすごい。
口角泡を飛ばすという表現がぴったりのようにひとりひとりが大声で意見を戦わせている。
白熱のあまり相手を突き飛ばす光景を偶然見たときにはびっくりしたが、その後何もなかったようにまた井戸端会議が続けられていたのは不思議な光景だった。
どんなに激しい議論を交わしても、後には引きずらないのがインド人の気質なのだろうか。
私からすると怒っているような口調で意見を述べているのも彼らからすると一般的なこと。
全員が自己主張している世界では、控えめな人のほうがよっぽど何を考えているのかわからない不気味な存在に映るのかもしれない。
約2000万人いるとみられる海外在住インド人の職業でも弁護士、不動産業、貿易商が圧倒的に多いという。
雄弁なインド人らしい職業ともいえるかもしれない。
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