インドの食事を見ていると、食べる量は決して多くはないように思う。
問題はその食事の内容だ。
過去50年間で砂糖の摂取量が40%、脂肪は20%増加しているという。
世界最大のスパイス産出国だけあって、様々な効能があるスパイスをふんだんに使用しているインド料理。
その一方、料理に使う油の量は尋常ではない。
一度カレーを作っているのを見せてもらったが、驚くほど大量の油を使っていた。
まるでスパイスや食材を油で煮こんでいるようなものだった。
売っている油の種類の豊富さは、品揃えが豊富ではないインドの食材では群を抜いている。
脂肪分の過剰摂取は日常の積み重ねといえるだろう。
インド人は甘いものも大好きだ。
お菓子は贅沢品と考えられており、祭りや祝い事などのときに交換しあう。
「ミータイ」というインド人に広く愛されている伝統的なお菓子がある。
形がかわいらしく牛乳や砂糖から作るこのお菓子、一度食べたら生涯忘れられない。
あまりの甘さに歯が溶けてしまうのではないかと思うほどだ。
美味しい美味しくないという問題ではなく、強烈な甘さしか感じられない。
ミータイを食べた後、治療したばかりの歯がまた痛み出したという友人がいた。
笑い話のようだが、実際に食べてみると納得できるかもしれない。
こうした食文化に加えて近年、車の普及で座っている時間が増加傾向にあるという。
慢性的な運動不足も肥満増加の大きな原因と思える。
「経済大国」へ走り出した巨象インドは、同時に「肥満大国」への道も進んでいるのだろうか。
|