転勤妻 灼熱印度
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サイト【転勤妻】 運営主宰者 大向 貴子

第5回 これでは太る

「Sorry for disturbing time of dinner・・・」

夫の同僚から我が家へかかってきた電話、時計を見ると午後10時半過ぎだった。
朝型の我が家ではすでに寝支度をしている時間。
夕食は4時間ほど前に済んでいた。

インド人のライフスタイルはこのように夜型が多い。
午前中はホテルのレストラン以外、開いている飲食店を探すのが難しいほどだ。
一般的に昼食は午後2時過ぎ、夕食は9時以降に始まる。
夕食がメインのレストランでは午後8時に開店するところも多数ある。
オーダーを済ませ食事が始まるのが午後9時頃、終わるのが11時過ぎということは珍しくない。
食後は1時間以内に眠りにつき、翌日に備えるという。
眠る前の飲食は太るという一般的な考えは、インド人には関係ないように思える。

最近ではデリー住民の35%が肥満というデータがあるほど、食生活が問題となっている。
確かに街を見まわすと、男女問わず太っている人がなんと多いことか。
肥満と関係の深い糖尿病や心臓病を患っている人が多いというのもうなずける。
大人のみならず、まんまるに太った肥満児もよく見かける。
新聞雑誌でもダイエットの広告を見ない日がないほど。
朝や夕方の公園はジョギングやウォーキングをする人々でいっぱいだ。
富裕層の間では、高額な入会金を必要とする高級スポーツクラブへの入会者が後を絶たないという。


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平均サイズを大きく上回る
お菓子ミータイは究極の甘さ

インド人の大好物 揚げ物スナック

インドの食事を見ていると、食べる量は決して多くはないように思う。
問題はその食事の内容だ。
過去50年間で砂糖の摂取量が40%、脂肪は20%増加しているという。
世界最大のスパイス産出国だけあって、様々な効能があるスパイスをふんだんに使用しているインド料理。
その一方、料理に使う油の量は尋常ではない。
一度カレーを作っているのを見せてもらったが、驚くほど大量の油を使っていた。
まるでスパイスや食材を油で煮こんでいるようなものだった。
売っている油の種類の豊富さは、品揃えが豊富ではないインドの食材では群を抜いている。
脂肪分の過剰摂取は日常の積み重ねといえるだろう。

インド人は甘いものも大好きだ。
お菓子は贅沢品と考えられており、祭りや祝い事などのときに交換しあう。
「ミータイ」というインド人に広く愛されている伝統的なお菓子がある。
形がかわいらしく牛乳や砂糖から作るこのお菓子、一度食べたら生涯忘れられない。
あまりの甘さに歯が溶けてしまうのではないかと思うほどだ。
美味しい美味しくないという問題ではなく、強烈な甘さしか感じられない。
ミータイを食べた後、治療したばかりの歯がまた痛み出したという友人がいた。
笑い話のようだが、実際に食べてみると納得できるかもしれない。

こうした食文化に加えて近年、車の普及で座っている時間が増加傾向にあるという。
慢性的な運動不足も肥満増加の大きな原因と思える。
「経済大国」へ走り出した巨象インドは、同時に「肥満大国」への道も進んでいるのだろうか。

 



2007/2/15

つづく

 
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