インド社会ではまだまだ男児を望む声が多く、貧しい家庭では女児は借金と同じようなものと考えられている。
その原因は主に結婚の際に女性が嫁ぎ先に持参金(dowry)を持っていくという慣習が残っているからだとされている。
「持参金が少なかったから」という理由で、花嫁が嫁ぎ先で焼殺されたという事件は数多く残っている。
家庭内で起こる事件のため目撃者がおらず、多くの場合が自殺かコンロによる引火事故として処理されてきた。2001年にはこの持参金の不満から。若い花嫁が手首を切られ髪の毛が頭皮からちぎられる暴力事件がデリー郊外で起こった。
首都であるデリーの近くで、しかも今からわずか6年前の出来事だ。
現在でも殺されないまでも、家庭内での夫から妻への暴力は珍しいことではないという。
インドには死んだ夫を荼毘に付すとき、その火中に妻も自らの身を投じて死ぬことを強いる「サティー」というヒンドゥーの古い習慣がある。
1892年に統治していた英国が違法として禁止したこの習慣だが、近年も残っているという。
報告のあったケースのうち約320件で責任を問われず、法廷で訴追された事件は全体の10%にも満たなかったという。
色鮮やかできらびやかなサリーを纏うインド人女性には、このような扱いを受けている背景がある。
女性の人権が重視されないまま急速に経済成長していくこの国の将来には、何が待っているのだろう。
連日のように「株価最高値を更新」などというニュースが踊るインド。
人口の約半分を占めるインド人女性の「地位向上」という大きな問題が、このまま置き去りにされて欲しくないと切実に願う。
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