最近日本のマスコミでもよく取り上げられている、インドの教育事情。
一例として、小学生で二桁の掛け算を暗記する様子などがたびたび紹介されている。
近年教育熱は高まる一方で、塾や予備校なども乱立しており、最近では日本の「公文」もデリーに進出した。
何故それほどまでに勉強をしなければいけないのか。
それは歴然とした「学歴社会」が、彼らの将来を待っているからである。
学校制度は、国土の広いインドでは州によって違う。
基本的な教育制度は「10・2・3制」となっている。
10のうち、1〜8年生までが初等教育、その後の9、10年生が中等教育にあたる。
12年生までは前期高等教育,12年生以降は3年制と4年制の大学にあたる後期高等教育を選択できる。
公立私立を問わず、進級テストを行い、成績が悪いと留年させるほど厳しい。
10年生で日本の高等学校にあたる上級中等学校に入るためと、12年生で大学・学部を決定する「全国共通試験」が実施される。
この試験の結果が、まさしく学生の人生を左右する。
インドでは政府関連や大企業で働くことは、高収入や高待遇などが約束されることになる。
そのためには一流大学へ入学しない限り、彼らには道はない。
中程度の大学では、その道は完全に閉ざされる。
国内最高レベルといわれる理系の大学、インド工科大学。
近年優秀なIT技術者を、卒業生から数多く産出している。
学生の憧れであるこの大学は、競争率が60倍、世界一の難関校である。
ほんの一握りの人しか、なることができないトップエリート。
その狭き道を目指し、学生たちは死に物狂いで机に向かっている。
試験シーズンになると重圧に耐えかねて、或いは結果を悲観して自殺する子供の記事もたびたび新聞で目にする。
熾烈極まる高学歴への戦いに勝ち残るのは、並大抵ではない。 |