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連 載  「暮らしの中のニセ物考」-5

◆ コピー香水◆


 香水。それは、夢の世界に誘う「魔法のしずく」といわれクレオパトラの時代から人々を魅了してきました。絶世の美女といわれたクレオパトラは、帆に大量の香水をしみこませた船にローマの政治家を迎え、自分の美しさと力とを見せつけたと言われます。
 一方、アッシリア人は、自分のあごひげに香りをしみ込ませ、ローマ皇帝ネロはバラの香りのワインで湯浴みをしたと歴史に記されています。
  世界の香水市場の年間売り上げ額は150億ドル超で、日本もベスト10位に入る健闘ぶり。市場にはおよそ千種類もの香水が出回っているとされ、大手メーカーは有名女優やタレントを使ってPRに懸命です。その香水にもニセモノが横行しています。有名商品の臭いをまねた「コピー香水」と呼ばれる商品が中心ですが、なかには、堂々と有名ブランドと同じ商標のニセモノも見つかっています。香りには、特許のようなものがなく、臭いには個人差があって、本物とコピーの区別がつきにくいのも盲点となっています。
 都内にある香水専門店の場合、フランス、イタリア、オランダの香料をもとに、各国の調香師が作った高級香水のコピーを「シャネル調(タイプ)」として計り売りをしています。値段は2,500円からあり、愛用の香水容器を持参で買いにくるOLもいるようです。香水は、原料の精油を75度から95度のアルコールに混ぜた液体の状態を言います。香水は精油の含有量率が22%以上、オードトワレは、8ー15%、コロンは5%以下と決められていいるのです。
 精油はバラやジャスミンから採る場合と、ジャコウネコの体液などから採る例があります。天然香料100%の香水は皆無といわれます。ジャスミンの濃縮液を採るには、550万枚もの花びらが必要とされることから考えると香水が高価であることがわかるような気がします。
  香水のコピーに対し、数年前、シャネル社の日本法人が新聞社系列のカルチャーセンターが開いた「フレグランス教室」に警告したことがありました。 「シャネルなどの香りがそっくり作れます」とパンフレットに記したからです。これがきっかけで、香りの講座は消えてしまいました。(明)

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(c) Mei Sasaki, 2001