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連 載 「暮らしの中のニセ物考」-6
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産業スパイの暗躍で、工業製品にも偽物が出回っています。航空機や乗用車、オートバイの設計図が盗まれ、東南アジアで部品が勝手に作られる事態がおきています。米国ではボーイング社のジャンボ機30機からニセの部品が見つかりました。宇宙ロケットやジェット戦闘機のエンジンや車輪、ブレーキ系統から欠陥ボルトが見つかっています。米国では、ニセ部品が原因でヘリコプターが墜落し、死亡事故までおきています。今やニセモノが人命まで奪っているといっても過言ではありません。 世界的に人気の高いトヨタ、日産、ホンダ、ヤマハの車やオートバイにも安全基準に合わないニセ部品がアジアの各地で出回っており、事故に直結するだけに、各メーカーは対策に苦慮しています。 数年前、大胆なプラスチック製の改造部品が発売され、カーマニアの人気を集め問題となりました。「ストリートー・パフォーマンスー・ボデーキット」 の名称で東京、大阪などの自動車部品店が宣伝し、客の注文で取り付けていたのです。 車の顔に当たるフロントグリルの部分を強化プラスチックの部品とことで、お好みの欧州の名車に早変わりする大胆な改造部品でした。なにしろ、「トヨタMR2」が「BMW−M1」になり、「ホンダシティ」ーが「ルノ ー5ターボ」に、「マツダRX7」が「ポルシェ935」に早変わりしてしまうのですから、マニアは試したくなるのです。 部品の価格は一式で29万円から33万円。単なる個人の遊びではなく、れっきとした自動車部品として販売されていたのです。部品には、商標(エンブレム)こそ付いていませんが、それぞれに、有名外車のデザインを盗用し、商売をしていたことはいうまでもありません。 当然のことながら、カタログに使われたBMWやポルシェの販売代理店や在日ドイツ商工会議所などが「デザイン盗用で訴える」と問題視しました。陸運事務所や警察も「取り付けの状態にも問題があり、高速道路での事故を招きかねない」と問題にしたことは言うまでもありません。 自動車の改造は一つ間違えると大事故につながるので、パロディーとか遊び心をうたった改造部品は犯罪以前の問題といえましょう。(明) |
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(c) Mei Sasaki,
2001
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