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連 載 「暮らしの中のニセ物考」-7
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根付けは、江戸時代、男性の粋なファッションとして煙草入れや印籠(いん ろう)の先につけた象牙の彫刻だ。とりわけ、「てのひらに隠れる極小彫刻」
として江戸時代を代表する伝統工芸品として世界的にコレクターがいます。とりわけ、江戸時代の作品は「古根付け」として、国内はもとより、欧米で芸術的な価値が高く、世界的なオークションで数千万円の値がつく事も珍しくありません。王侯貴族や大富豪にコレクターが多い事でも知られています。 浮世絵ともども海外で人気の高い根付けですが、古根付の名作はことごとく海外に散逸してしまったのです。さらに、庶民たちの服装が和服から洋服に変わってしまった明治時代から実用性が薄れ、衰退してしまったのです。 しかし、伝統芸は根付師の間でいまにに引き継がれており、東京近辺の職人たちで構成している「根付彫刻会」に所属する約50人の根付師のなかには、川口市在住の斎藤美州さん(元国際根付彫刻会会長)のように、作品が大英博物館から買い上げられる例もあり、地味な存在ながら高円宮ご夫妻のようなコ レクターに支えられ、現代根付は健在なのです。 こんななかで、昔から象牙の密輸基地とされる香港で、江戸時代や現代の作家の作品をそっくり真似たコピー根付が数年前から出回り、欧米の観光客の人気を集めているのです。手先が器用な香港の中国人が精密な工具を使って密造しているもので、製造個数は日本の10倍にも達しているのです。 作りが雑で、やや大きめですが、価格が安い上に見栄えがいいことから観光客ばかりでなく、欧米のバイヤーが買いつけ、密かに骨董品店などに流しているのです。 ニセ根付の製造には、数百人の職人がかかわっているものと見られ、密輸した象牙を古代色に染める技術の研究にも余念が無いというから油断できません。現代作家の作品では、斎藤美州さんの「動物もの」、駒田柳之さんの「女性もの」まであり、作者の銘や裏側のひもを通す穴まで真似られており、これらの作品は繁華街にある根付専門店で売られているのです。 商標付きのバッグ類とは違うだけに、法的にも難しい面があるようですが、根付師たちの間からは「悪質なものは製造元をつきとめ、著作権の侵害で問題にしたい」との声があがってきました。 |
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(c) Mei Sasaki,
2001
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