今年は北京オリンピックの年で、かつチベットで自治拡大の解放運動があり、中国側からは入山できないためネパール側から登山を計画する人も多いという。しかし、登山をする人だけでなく、非日常を楽しみリラックスするためだけの人にも大変魅力的で楽しめる国がネパールである。しかしここ数年は政治的に不安定であったりしてちょっと不安ではあるが・・・。 旅行会社に勤めていたSさんは、2005年に退職して4月の下旬に夫人とネパールを訪ねた。スローライフを送る目的でこの地を訪問したのである。

   日本からバンコク経由で一泊してカトマンズに到着した夫妻は、カトマンズの郊外のパタン市の高台にあるホテルヒマラヤに滞在した。ここは立派なホテルで、水資源の貴重な土地であるがプール付きである。レストランも和洋中とある。しかし、日本のように毎日バスタブに湯をあふれさせて風呂に入ることは望めないが、湿度も低くそれほど気にならない。気候は思ったより寒くなく過ごしやすい。その後各地を回り、世界遺産やナガルコットの夕日を浴びたヒマラヤの山々に感動し、バザールでの買い物を楽しんだ。市井の人々の中で過ごしていて水洗トイレがなく、使用後松の葉をかけることが珍しかったがこういうことにはすぐ慣れた。 出発前にトラベル・メディスンの先生の話を聞いて肝炎の予防接種をして来ており、健康に留意して生水は飲まず、ジュースや生野菜にも気をつけながら過ごしていた。 しかし、2週間を過ぎたころに熱が出て頭痛と筋肉痛並びに嘔吐と下痢がはじまった。Sさんは風邪を引いたと思った。数日持参の風邪薬を飲んだが状態は一向に良くならないため、日本の援助で設立されたというTribhuvan University Teaching Hospitalに行った。

 Sさんによると、日本から見れば清潔感はもう一歩という感じであるが、当地では設備が整った病院であった。しかし、受診手続きは日本と異なり、はじめに診察料や検査料を支払う必要があり、必要な注射薬等は自分で買ってこなければならず戸惑ったという。先生とは英語で話ができるが、看護師さんとはなかなか話が通じないし、日本の看護師さんとは違う印象があったという。具体的には、清潔を保つ動作が違い、それほど専門的な訓練を受けていないように見えるスタッフが見られたという。

  診断の結果は驚いたことにマラリアであった。血小板が減少し、LDHが上昇した。 総コレステロール(HDL)が低下したとの説明に、メタボぎみのSさんは喜んだが、実際はそれどころではなかった。クロロキンの投与を受け3日後再度受診して再び3日分の投与を受けた。その間に帰国予定日が来たので、医師から検査結果と治療内容を記載したレポートをもらって帰国した。帰国後成田空港検疫所に申告し、都内の病院で継続して受診して順調に治癒したSさんであった。 外国人のカトマンズでの治療費は、現地の人の倍以上というがそれほど高いものではなく、数十ドル程度であった。 しかし受診する手続きは非常に面倒に思えたという。現地の外国人は重い病気にかかったらバンコクに行って治療するそうだ。また、公立病院は設備も整っておらず患者の数が多くとても外人旅行者には利用を勧められないという。行くなら私立病院がお勧めである。設備、医師、患者対応が全く違うのである。 なお、重症になったときには、アシスタンス会社の医師らの救助を頼まないとならず、海外旅行保険の救援者費用の額の大きい契約が必要であろう。
カトマンズの医療機関は、日本人(外国人)が利用する私立医療機関が8つほどあり、このうち2つが大学病院で1つがクリニック、1つが歯科医である。初診料は高いとことで$40ほど、これに検査料と医薬品代等が加算される。

  外務省の情報では、ネパールで罹りやすい病気は感染性胃腸炎が第一にあげられる。上下水道の整備が不十分であり、細菌性や寄生虫による下痢症が多い。また、昼夜の気温の差が大きく風も引きやすい。統計ではマラリア、肝炎、日本脳炎などもこれらに続いている。
なお、カトマンズは野犬が多数おり、噛まれないように気をつけることと、噛まれたらすぐに病院に行くことが必要である。現地の私立病院にはワクチンを常備しているところがある。また、A型肝炎は食べ物から移るので生ものは食べないようにし、マラリアや日本脳炎を予防するためには蚊に刺されることのないよう長そで長ズボンで過ごすことが有効である。 

  ネパールは、毎日入浴をすることを望まなければ、日本にはない山々の景色が素晴らしく、快適に楽しめるところと云える。行ったことのある人は口々に元気になって帰れる国であり 一度は行って頂きたい国の一つであるという。

以上

2008/4/25

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