インドにいるからには必ず体験したいと思っていたが、南インドへ行った際に早速経験できる機会を得た。
事前に記入した問診表をもとに、ドクターと称する人からいくつか質問を受ける。
睡眠や食欲、アレルギー症状や手術歴の有無など簡単なやりとりだった。
施術するスタッフは若いインド人女性。
はじめに「このトリートメントがよい効果を及ぼすように」と、一緒にマントラを唱える。
ランプが灯され、スパイスの香りが漂う神秘的な雰囲気のなか、施術が始まった。
まず木製の施術台に座らされ、背後から頭と背中に油をすりこまれる。
その後に仰向けとなり、足から腹部、腕、肩へと大量の油を手ですりこみ肌に染み込ませていく。
マッサージというより、身体中を少し強めに撫でられているような感覚だった。
全身が油だらけになり、施術台にも油が滴り落ちていく。
つるつると滑ってしまい、助けを借りないと身体を起こすことも困難なほどだった。
所要時間は全部で一時間、浴室で油を流し落として一通りの施術が終了した。
「施術後は身体がふわふわと軽くなった」という人もいるようだが、私自身はそのような効果を実感することはなかった。
睡眠に関しても、残念ながら特別な変化はなく、いつもの通りだった。
即効性を期待するのではなく、心身ともに時間をかけてバランスを整えていく。
インドのゆったりとした時間の流れに沿った方法、それがアーユルベーダなのだろう。
神秘性を感じられるインドの一つの文化としても、今後ますます注目されていくのかもしれない。
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