| 英国を好まれる方の多くは、田舎での滞在を望まれるという。特に湖水地方の人気は高く、美しい森と、安らぎの庭園を愛する人々の素顔に接し、流れる時間の速さが変わり、空気が変わるのを感じるひとは少なくないのであろう。 |
| 熟年旅行を利用される方は、やはりゆったりとしたツアーを楽しまれるようであるが、お客様の日程を滞り無く進めるための旅行会社添乗員の水面下の努力をあまりご存知ないようである。その中で発生した本件は、関係者の努力で多くのお客様は事態を知らず楽しい思い出だけを持ってご旅行を終了された一例である。
4人の仲良しグループでJ旅行社の熟年旅行に参加していたI子さんは、朝6時頃同室のK子さんの様子がおかしいのに気づき、「お医者さんを呼んであげるから待っていて!」と言って添乗員のYさんに助けを求めた。直ぐに救急車が到着し、2人はK子さんに付き添って病院に向かった。 しかし、途中で容態が急変し、病院に到着したときには既に意識が無く、その後のx救命救急処置も奏効せずK子さんは亡くなられた。 |
| 添乗員のYさんは、親友の急死に動転するI子さんをなだめ、落ち着かせながら、K子さんのことを同行の3人以外のお客様には知らせないよう説得し、携帯電話で保険会社のJiデスク・パリ(ヨーロッパの統括店)に事態の概略を報告した。緊急対応を依頼した後、ホテルに跳んで帰ると既に朝食が始まり他のお客様はレストランに三々五々降りて来ていた。添乗員Yさんは、にこやかに挨拶を交わしながら「お客様K子様が体調を崩され病院に行かれておりますので、本日のご案内はガイドがいたしますのでご了承下さい。」と説明し、快く了承を受けた。また直ぐにK子さんの仲間の二人にこっそりと事実を話し、二人を連れてタクシーで病院に駆けつけた。病院では警察官の事情聴取、検死が始まり、救援者の手配、遺体の日本への搬送等々を考えなければならなかった。Yさんは、他のお客様を放っておけないこと、K子さんのお友達の3名もご親族ではなく、明日以降の日程を潰すことは出来ないこと、また今日1日この3名は Yさんだけが頼りであることも明らかであった。冷静な表情を保ちながら内心進退窮まったYさんであった。その時、J旅行社パリ支店より携帯に電話が入り「ジェイアイ保険会社がマドリッド駐在の担当者をそちらへ派遣することにし、既に出発した。午前11時には到着するからあとは任せるように。」と連絡がはいった。K子さんと3名のお客様の対応をジェイアイ保険会社の担当者に任せ、12時より本来のツアーに復帰したYさんは、お客様一行に拍手で迎えられ、翌日より合流したK子さんの友人3名と共に予定の日程を消化し、何事もなかったかのように予定通り帰国した。 |
| この間、ジェイアイ保険会社の担当者はK子さんも一行と同じ飛行機で帰国できるように警察と市、航空会社の許可を得るべく奔走し、業者にご遺体の処理梱包をさせ、救援者として日本から駆けつけた娘さんご夫妻の対応を行ないつつ、6月9日ロンドンのヒースロー空港でご帰国のお見送りをした。 翌日成田空港では、ジェイアイ保険会社により、ご親族の皆様、J旅行社の方々を控室でお待ち頂き、帰国後の必要手続手配を全て行い本件の緊急対応は終了した。
保険金支払については、死亡保険金2000万円と救援者費用276万円をお支払いした。救援者費用の内、娘さんご夫妻の日本からの往復航空券と現地ホテル代は、お立替え頂かないようにJ旅行社よりジェイアイ保険会社に直接請求をしてもらい、お支払いしたものである。これは、いざ、というときにお客様のお立替を出きる限り少なくする保険会社の心配りの1つである。
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