なぜ海外旅行(留学生・駐在員)保険は必要なのか
健康上のトラブルは海外滞在中のトラブルとしては最も頻度が高く、海外旅行駐在員保険の保険金支払い全体の中でも、疾病や傷害の治療費用・救援費用は6割以上を占めている(2008年AIU実績)。海外、特に欧米の医療費は総じて高く、実際に旅先で治療を受け、あまりの医療費の高さに驚く旅行者も少なくない。日本では無料が当たり前の救急車も、海外では大半の都市で有料化されている。料金はまちまちだが、一回の出動に対していくらという料金体系の他、走行距離によって料金を決めるところも多くなっている。
ニューヨークの病院の病室代は1日約50万円(2011年AIU海外医療事情より)。病院に長くいればいるだけ料金が高くなっていくので、最近では盲腸の場合でも入院期間は平均2泊3日(2008年AIU海外医療ハンドブックより)。
別表は盲腸の手術を受けて1週間入院した場合の総費用の概算を日本円に換算し、料金が高い順番に並べたものである。ただ、症状は千差万別 で、腹膜炎を併発しているケースも多く、その場合は手術料も一層高額になる。病院によって料金に差がでる都市もある。
日本の健康保険と海外の医療費
日本の健康保険の、海外の医療費に対する適用はどうなっているだろうか。1981年3月からの「健康保険法の一部改正」施行により、海外での医療費についても健康保険が適用されるようになった。海外で医者にかかったら、病院から診療報酬明細書をもらって社会保険事務所に提出すれば、日本の「診療報酬」に見合った額が払い戻される。 しかし、次の理由からあまり役立つケースがないのが実状である。
- 支払い基準には日本国内の基準が適用されるため、かかった医療費の100% が支払われるとは限らない。たとえば、日本での盲腸の診療報酬が仮に8万円なら、現地で盲腸の手術費が3000ドル(約30万円)かかったとしても、支払い額は8万円のみ。差額の22万円は自己負担になってしまう。
- 現地語で書かれている請求書類には日本語訳を添付しなければならず、また手続きにも時間がかかる。
海外で病気になったら
「健康には自信がある」という人でも、現地で健康上のトラブルにあった場合の対処法をあらかじめ考えておくことは大切だ。救急車の呼び方や加入している海外旅行(留学生・駐在員)保険の契約者番号、緊急連絡先等を控えておき、使い慣れた常備薬と一緒に携帯していると、いざという時に役立つ。 ホテルにいる時はフロントに連絡してドクターに往診に来てもらうことも可能だが、外出先の急病やケガは、同行者か周囲の人に頼んで加入保険会社の緊急連絡先に援助を求めるか、すぐに救急車を呼んでもらうことをおすすめする。診察を受ける時は、もし言葉でうまく表現できなくても、痛む場所を指さしたり、顔の表情や身振り・手振りを使い、症状を的確に伝える努力が必要である。持病がある方は現地語または英語の診断書を用意しておくと便利である。 ※ 但し、海外旅行保険では既往症(持病を含む病気やケガで旅行前からすでに症状があったもの)や、歯科疾病、妊娠出産に関わる費用などは対象外。※保険期間31日までの契約に限り、補償の対象となります。