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連 載 「暮らしの中のニセ物考」-2
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偽ブランドの取材にかかわって20年を超えますが、講演やセミナーの講師を頼まれてよく出る質問が「どのブランドが一番、ニセモノが多いか」です。 ニセモノにも時代性があり、変化はあるものの、数十年間、不動の偽ブランドとなると、歴史と伝統、人気からルイ・ヴィトン、シャネル(ともにフランス原産)とロレックス(スイス)の三種に尽きます。私は俗にこれらを偽ブランド三羽がらすと呼んでいます。 |
LとV、CとCを重ねたり、片手を広げた様な単純な商標が特徴で、世界的に人気が高い商品として知られているだけに、ニセモノも売れるわけです。ルイ・ヴィトンと、シャネルはバッグ類や装身具、衣料品を中心に、人気のある商品のほとんどにニセモノがあるといえます。なかでも、ルイ・ヴィトンは日本人が世界で一番大好きなブランドとあって、「類似ヴィトン」があまりに目立ちます。ロレックスは高級時計の代名詞とあって、ニセモノ時計の世界では「目玉商品」ともなっています。 ニセモノの歴史は、人類が物を作りだした頃にさかのぼるとさえ言われます。16世紀の神聖ローマ帝国では、シャルル5世の命令で他人の商標をまねたり、変更を加えたり、はがしたりいした者は両手首切断という刑にしたり、ガリー船で労働させたりしたのです。つまり、他人の開発した商標の侵害行為は贋金(にせがね)づくりと同罪だったのです。 工業の技術革新が進み、大量生産時代になると、刑罰は懲役もしくは罰金にかわりました。 |
世界で有名商標を数多くもっている国は、フランス、イギリス、イタリー、ドイツ、スイス、スペインなど、欧州にめだっています。 |
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(c) Mei Sasaki,
2001
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