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<インフルエンザ-2>
インフルエンザの生ワクチン   



 今年6月17日、米国で開発された"インフルエンザの生ワクチン(LAV)"の使用が許可されました。
このワクチンは従来、皮下または筋肉の中に注射をしている不活化インフルエンザ・ワクチンと異なり、"スプレー用の容器に入れてあり、鼻腔にスプレーする生ワクチンで、人体内で増殖してインフルエンザに対する免疫を与えるものです。

 このワクチンについての解説を米国の「ACIP」が「MMWR」の2003年9月23日号に"Using Live Attenuated Influenza Vaccine for Prevention and Control of Influenza" の表題で7頁にわたり述べています。
この解説の主な項目の内容を列記してみると;


生ワクチン("LAV"の商品名でよんでいるようです)。
"LAV" に含まれているインフルエンザ・ウイルスの種類は、従来の不活化ワクチンが含む種類と同じで、2種類のA型ウイルスとB型ウイルスの3種類を含んでいるものですが、"不活化ワクチン"に含むインフルエンザ・ウイルスについては、少なくともA型ウイルスは、2年ごとに変わっていますが、"LAV"もその変化に従って、生ワクチンが作れるか否かについて不明です。
生ワクチンは、従来の不活化ワクチンに比べて、作ることが難しいものであるからです。
"LAV"の接種回数は6から10週の間隔で2回となっており、従来の"不活化ワクチン"と、接種回数および接種間隔について大差ないようです。接種の時期も9月末から10月の初めとなっています。
"不活化ワクチン"は生後6ヶ月から10歳くらいまで、および65歳以上の健康な人に接種を勧めていますが、"LAV"は目下のところ、5歳から49歳までの健康な人にのみ接種することになっており、これ以外の年齢の健康者についてのデータは不明です。
"LAV"の接種を2回受けた小児の約90%前後は免疫となりますが、接種を受けた小児は、3週間くらいウイルスを排出して他人にウイルスを感染させるとのことです。
「ACIP」は、以下の人には"LAV"を接種してはならないと注意しております。
  ぜんそく、その他の呼吸器疾患を持つ人、心臓や循環器、腎臓などの慢性疾患を持つ人、糖尿病のような内分泌障害のある人、老人ホームの職員や医療関係者、50歳以上の年齢の人などです。
このような人たちは、以前述べたように、従来の"不活化ワクチン"の接種を受ける対象になっていることを考えると、
"LAV"の接種を受けた場合、インフルエンザの症状を起こすかも知れないと言う理論的懸念があり、また"LAV"の接種を受けた人が、ウイルスを他の人たちに感染させてインフルエンザを起こさせる理論的可能性を考えて、このようなアドバイスをしたのではないかと思います。
何れにしても
"LAV"そのものについての研究が未だ十分でないように思われ、今後の報告が待たれます。

 


インフルエンザのシーズンが近づいています-

インフルエンザの流行は、北半球では毎年10月から翌年3月まで、南半球では4月から9月までの間に起きることは以前に述べましたが、この流行のパターンが、気候不順の2003年から2004年にかけても、平年と同じような流行をみるかどうか、確かな予測はできませんが、予防接種を始める時期は、日本では例年のように9月末から10月にかけて受けるのが良いと思います。
2003年10月10日

インフルエンザの予防接種について
インフルエンザの生ワクチン



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