HOME海外渡航者の健康管理米国同時多発テロ情報リンク 
HOME<Medical Report TOP>
Medical Report-1

10/24Report-110/26Report-211/5Report-311/10Report-4
11/24Report-5
02-1/13Report-6 02-1/28Report-7
Report-8「炭疽菌」フローチャート
プロフィール


「炭疽菌」はテロに用いられる可能性が指摘されていた細菌の一つ

米国のテロ事件以後「炭疽」についての報道が、連日マスコミを賑わしていますが、
いくつか重要な点が欠けているようなので、ご参考までに以下に述べさせていただき、
今後、"医療および保健に関係している方たち"のお役に立てばと思います。

◆   ◆   ◆   ◆   ◆

小生が以前「炭疽」について学んだ時は、"炭疽"菌の胞子(スポア)を1個吸い込んでも、たちまち炭疽性肺炎を起こし、短時間で死亡するという、"死病"と言うことでした。
これが"炭疽恐怖症"の根元をなしていると思います。
しかし最近の米国からの報告を見る限り、感染者の多くが(4,5例を除けば)、生命に関わる重症ではなく、中には病原体が、"鼻腔"から発見されても症状を示していない人がかなり多いようです。このような人たちを含めて"感染者"と呼ばれています。
この際"感染"と"発症"を区別し、発症については、"どの程度の症状で、どのような治療がおこなわれているか?"を知る必要があります。
もっとも、CDC(米国CDC疾病予防センター)では必ず後で報告を出してくるはずです。

1

菌の侵入を受けたと思ったらできるだけ早く抗菌薬の内服を始めなければなりません。

<<炭疽に対する「抗菌薬」について>>

「メディカル・レター」では、第一位の選択は"ペニシリンG"、ついで"シプロキサン""エリスロマイシン""ドキシサイクリン"を勧めています。
一方、米国FDAでは"シプロキサン"を勧めています。
その理由の説明についての情報はありませんが、"肺炭疽"は"肺炎症状"を示すため、病原体が不明の肺炎症状を起こした患者に、"ペニシリン"を使用した場合、もし炭疽菌でない他の病原体が原因の場合には、"ペニシリン"の治療効果があまり期待できないのが現状であるため、多くの肺炎病原体(炭疽を含む)に有効な"シプロキサン"を勧めているのではないかと推測されます。

<<抗菌薬の内服法>>

1.シプロキサン大人は500mgを12時間ごとに内服、小児は体重1kgにつき15mgを12時間ごとに内服

2.ドキシサイクリン
大人は100mgを12時間ごとに内服、小児は体重1kgにつき5mgを24時間ごとに内服

3.シプロキサンドキシサイクリンの併用内服法;
"「海外で健康にくらす」渡辺義一著"資料4,430頁"内服プランH"も考慮にいれます。
注;シプロキサンは小児に使用することの安全性が確認されていませんでしたが、資料「toropimed」によれば、使用できることになっています。

4.アモキシシリン
大人は500mgを8時間ごとに内服、小児は体重1kgにつき40mgを24時間ごとに内服

内服期間については明らかではないが、少なくとも3週間以上は必要でしょう。

テロに用いられる可能性を指摘されているものには、細菌類では、「炭疽菌」の他に、「ペスト」「ブルセラ症」「野兎病」、ウイルスでは「天然痘」の病原体等あがあります。
参考リンク

◇厚生労働省
◇米国における同時多発テロ事件に関連して


渡辺 義一  プロフィール
1942年慶応義塾大学医学部卒業後、北里研究所入所。伝染病の臨床、細菌、血清、免疫学を学ぶ。1958年よりテキサス大学医学部ポストドクトラールフェロー、米予防衛生研究所フェローを経て、1964年より世界保健機関(WHO)ジュネーブ本部の医務官、テキサス大学医学部準教授、クウェート政府保健衛生省高級アドバイザーなどを歴任。WHO下痢症委員会本部委員。
著書:「海外で健康にくらす」(キョーハンブックス刊)、「海外で医者にかかるときの助け舟」(近代出版社刊)
O.M.C. Overseas Medical Consultants(オーハーシーズ・メディカル・コンサルタンツ)
海外赴任者のために、世界保健機関で長年保健・医療プログラムに従事した者、あるいは日本の海外援助計画で長期に亘り海外滞在経験のある医師グループが以下のサービスを行っている。
1.電話相談(無料)
出国前の予防接種の種類と接種プラン、家庭常備薬その他出国前準備、翻訳等の相談(在日外国人の海外旅行の英語相談も可) 毎月曜9:00〜12:00 13:00〜17:00 海外で伝染病発生時の緊急相談
2.出国前オリエンテーション
3.現地で発病したとき役に立つ、家族のくわしい病歴を加えた母子手帳、健康診断書、病状経過診断書の翻訳(英、仏、西語):希望者はまず電話無料相談で

■■■問い合わせ先■■■
オーハーシーズ・メディカル・コンサルタンツ 代表 渡辺 義一/TEL 044-865-3161

(*1)「健康にくらす」
“海外で健康に暮らすための手引き”の著者がおくる総集編。先進国・途上国への出発前の予防接種。気候・風土と近年増加してきた感染症への対応策、医療の受け方、緊急時の治療など。カギは準備!海外赴任・出張・旅行に。


海外渡航者の健康管理 OMC案内 翻訳サービス 電話相談 著書紹介 著者プロフィール  
<Medical Report>
▲ページTOPに戻る▲

Copyright(C)2001 OMC All Rights Reserved.
HP制作:FamiNet Co., Ltd.