“出血熱”の種類 感染経路、死亡率及び分布


ウイルス性出血熱 

感染すると死亡率が高いものが多いウイルス性出血熱

表Aで示したエボラ出血熱、腎症候性出血熱、デング熱、黄熱などはウイルス性出血熱とよぶ感染症に属しますが、その他のウイルス性出血熱を加え感染経路、感染者の死亡率および世界分布を表Bに示しました。

感染経路: 感染者が外界から最初に病原ウイルスに感染する経路を示してあります。例をあげると、ラッサ熱はネズミの排泄物に汚染された食物を食べて感染しますが、感染した人は他の人に病原ウイルスを感染させるため、ネズミ→汚染食物→人→人という感染経路をたどり、これをリスクで示すと、リスク3→リスク1→リスク2となります。感染者から他の人に感染する例は、エボラ、マールブルグ、リフトバレーなどの出血熱があります。表Bに示した感染者死亡率に、エボラ出血熱で50から85%とあるのは症状の軽い場合は50%、重い場合は85%と言うことです。これは大体の目安と考えて良いと思います。世界分布を見ると、死亡率の非常に高いエボラ、マールブルグおよびラッサの3出血熱はサハラ砂漠より南方の熱帯アフリカに分布しているようです。ヨーロッパでは稀に、これら出血熱の感染者が発見されています。

出血熱の経過: 発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、下痢 などインフルエンザに似た症状で始まり、発病後、7日後くらいから皮膚に丘状の発疹が現れ、皮下、歯茎、鼻腔などから出血、糞便に血が混じったり、コールタールのようになったりします。血圧が下がり、ショック死を起こします。

エボラ、マールブルグおよびラッサ熱の感染者は特に、他人に病原ウイルスを感染する力が強く、感染者を収容した病院の医師や看護士が感染して死亡する報告があるので、患者の取り扱い、排泄物、血液などの取り扱いにはSARSと同様に細心の注意を払う必要があります。

 

 
表B
“出血熱”の種類
感染経路、死亡率及び分布
 

“出血熱”名
感染経路(リスク)
感染者死亡率
分布一覧
エボラ 不明(注1
50〜85%
サハラ砂漠より南方の「熱帯南アフリカ」に分布
マールブルグ 不明(注2
50%
ラッサ熱 ネズミ
30〜70%
リフトバレー熱 注3
約9%
アフリカ、近頃、中東(サウジ)に侵入
ベネズエラ、ブラジル ネズミ
5〜15%
熱帯アメリカ、或は温帯南アメリカにも分布?
黄熱(おうねつ) ヤブカ
1〜80%
熱帯南アメリカと熱帯南アフリカに分布
腎(じん)症候性出血熱 ネズミ
15〜20%
ネズミの多い地域では、どこでもリスクあり
クリミアンーコンゴー マダニ
2〜50%
中央アジア、ヨーロッパ中部草原に分布
デング熱 ヤブカ
0〜1%
「デング熱の世界分布」参照>>

注1:"エボラ出血”が、外界から人に感染する経路は不明で、感染者から他の健康者に感染する経路(リスク)は表Aに示してあります。
注2:注1と同様
注3:"リフトバレー熱”は、元来アフリカで牛、羊、ヤギ、水牛などの流産や死亡の原因となるウイルス性感染症で、アフリカの畜産業に大打撃をあたえているといわれています。
死亡した家畜の組織を取り扱ったり、肉を食べたり、これらの家畜を刺した多くの種類のカ(蚊)やダニに刺されても感染するといわれています。
2005年7月25日
  風土病はその常在地だけにとどまるとは限らない
  風土病の一つである“マラリア”
  ペスト
  デング熱
  エイズ
1971年から2004年までの感染症についてのトピックス
“出血熱”の種類 感染経路、死亡率及び分布
肝炎
ワクチンについての2つの見方

「海外で健康にくらす」
予防接種、感染症への対応

OMC
オーハーシーズ・メディカル・
コンサルタンツ代表
医学博士
渡辺 義一
 
海外生活必需品
海外生活に関わるあらゆる
サービスや 海外生活必需品をを
網羅した総合窓口


制作:海外生活(株)